理学療法士が転職で年収を上げるには?公的統計で比べた職場の種類・法人規模・経験年数
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理学療法士の年収を上げたくて転職を考えても、求人の月給を並べただけでは、どこへ移れば上がるのかが見えにくいですよね。理由ははっきりしていて、年収の差は「月給」「賞与」「経験の数え方」の別々の場所で生まれているからです。病院か介護かという職場の種類だけでなく、法人の大きさと、これまでの経験年数でも数字が動きます。
- 統計では経験年数は職場をまたいで通算され、15年以上で所定内給与は月341.0千円(0年は245.0千円。PT・OT・ST・視能訓練士の合計、令和7年6月分)。前職の経験を給与にどう反映するかは求人ごとに違うので、応募前に確認できる
- PTの給与費が集計されている3サービス(訪問看護・訪問リハ・通所リハ)の中では、訪問看護の常勤PTの給与費がいちばん高い集計です。常勤理学療法士1人あたりの給与費(月)は、訪問看護449,606円、訪問リハビリテーション425,039円、通所リハビリテーション416,119円(令和7年度介護事業経営概況調査)。訪問看護と通所リハの差は月33,487円で、前回の令和5年度実態調査でも同じ順でした
- 法人の規模で差がつくのは、月給より賞与です。企業規模1,000人以上の年間賞与は829.6千円、100〜999人は698.5千円で、差は131.1千円。月給×12+賞与で試算すると、1,000人以上は約461万円、100〜999人は約436万円です
- 介護施設へ移るなら、処遇改善加算を届け出ている介護老人保健施設のうち69.2%が、加算をPT・OT・ST等にも配分しています(令和6年度介護従事者処遇状況等調査)
- 数字の読み方で押さえておくこと: 介護事業経営概況調査の「給与費」は手取りでも年収でもなく、賃金構造基本統計調査とは定義が違います。別の統計どうしの金額は比べず、同じ表の中で比べてください。病院・クリニックで働くPT・OT・STに絞った金額は、この記事で読んだ統計には出てきません
求人を「訪問リハビリ・看護」「介護老人保健施設」などの施設形態と、月給の下限で絞って比べるなら、PTOTSTワーカー(PT・OT・ST WORKER)の求人検索が使えます。求人票に書かれていない賞与の月数や手当は、無料で会員登録すれば担当者に聞けます。
この記事では、厚生労働省の公的統計(令和7年賃金構造基本統計調査、令和7年度介護事業経営概況調査、令和6年度介護従事者処遇状況等調査)から、職場を変えたときに動く数字だけを取り出しました。いずれも平均値で、あなたの年収がこの額になると約束するものではありません。それでも、どの軸で求人を絞れば上がる見込みがあるかは、統計から読み取れます。
なお賃金構造基本統計調査は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士を1つの職種にまとめて集計しています。PTだけ、OTだけの数字は、この調査には出てきません。
経験年数は職場を変えても通算される(統計上の数え方。給与への反映は応募先しだい)
転職すると給料がリセットされるのでは、と不安に思っていませんか。少なくとも統計の数え方では、経験年数は職場ではなく職種に付いて回ります。賃金構造基本統計調査の「調査の概要」(e-Stat 調査の説明)は、経験年数をこう定義しています。
調査対象期日現在の職種の仕事に従事した年数をいう。経験年数の算定は、次の原則によっている。 ア 過去において調査対象期日現在の職種の仕事に従事した年数は、すべて通算する。ただし、休職期間は除く。 イ 自動車運転者、看護師などのように、免許を必要とする職種は、免許取得後実際にその職種の仕事に従事した年数をもって経験年数とする。
勤続年数(いまの企業に雇われてからの年数)とは別の物差しです。その経験年数で、PT・OT・ST・視能訓練士の給与を並べたのが下の表です。
| 経験年数 | 所定内給与額(月) | 年間賞与その他特別給与額 |
|---|---|---|
| 0年 | 245.0千円 | 56.4千円 |
| 1〜4年 | 259.2千円 | 598.1千円 |
| 5〜9年 | 287.7千円 | 712.0千円 |
| 10〜14年 | 303.9千円 | 772.5千円 |
| 15年以上 | 341.0千円 | 928.2千円 |
| 経験年数計 | 298.2千円 | 717.2千円 |
出典: 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第14表(企業規模計10人以上・男女計・産業計)。e-Stat 該当表一覧。所定内給与額は令和7年6月分で、残業代などの超過労働給与額を含みません。賞与は原則として令和6年1〜12月の1年間の額です(0年の賞与が小さいのは、前年に在籍していなかった人が多いため)。
前の職場での経験を何年分として給与に反映するかは、求人ごとに決まっています。統計が通算しているのは数え方の話なので、応募先が経験年数をどう扱うか(初任給の決め方、経験加算の有無)は、求人票か面接で確かめることになります。
年齢で見ると、5歳刻みで年収の目安がいちばん大きく増えるのは40〜44歳から45〜49歳で、約38万円です。月給(きまって支給する現金給与額)×12+年間賞与で、当サイトが試算した年収の目安です。
| 年齢 | きまって支給する現金給与額(月) | 年間賞与 | 年収の目安(当サイト試算) |
|---|---|---|---|
| 25〜29歳 | 279.7千円 | 621.5千円 | 約398万円 |
| 30〜34歳 | 298.2千円 | 736.9千円 | 約432万円 |
| 35〜39歳 | 316.9千円 | 768.3千円 | 約457万円 |
| 40〜44歳 | 333.2千円 | 822.9千円 | 約482万円 |
| 45〜49歳 | 354.5千円 | 943.4千円 | 約520万円 |
| 50〜54歳 | 377.7千円 | 955.6千円 | 約549万円 |
| 55〜59歳 | 363.9千円 | 885.2千円 | 約525万円 |
出典: 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第5表(企業規模計10人以上・男女計・産業計、PT・OT・ST・視能訓練士の合計)。「きまって支給する現金給与額」は6月分の残業代などを含む額です。年収の目安は6月の1か月分を12倍しているので、月ごとの残業の増減は反映していません。
PTの給与費が集計されている3サービスの中では、訪問看護の常勤PTがいちばん高い
病院以外の職場を探している作業療法士の方にとって、いちばん知りたいのはここではないでしょうか。介護保険の事業所については、職種別・サービス別の給与を集計した公的統計があります。厚生労働省の介護事業経営概況調査です。令和7年度調査(令和7年5月実施、令和5年度決算・令和6年度決算が対象)の統計表から、常勤職員1人あたりの給与費(月)を抜き出しました。
| サービス | 理学療法士(常勤) | 作業療法士(常勤) | 言語聴覚士(常勤) |
|---|---|---|---|
| 訪問看護 | 449,606円 | 421,709円 | 表に区分なし |
| 訪問リハビリテーション | 425,039円 | 414,229円 | 391,305円 |
| 通所リハビリテーション | 416,119円 | 396,033円 | 387,665円 |
出典: 令和7年度介護事業経営概況調査 第6表(訪問看護)・第7表(訪問リハビリテーション)・第9表(通所リハビリテーション)「常勤換算1人当たり給与費」。e-Stat 令和7年度介護事業経営概況調査。同表は令和5年度決算と令和6年度決算の欄に同じ値を載せています。
この順番は、1回の調査だけの結果ではありません。前回の令和5年度介護事業経営実態調査(令和4年度決算)でも、常勤理学療法士の給与費は訪問看護438,763円、訪問リハビリテーション406,087円、通所リハビリテーション390,421円で、同じ順に並んでいました(令和5年度介護事業経営実態調査結果)。
訪問看護・訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションの3サービスは、介護事業経営概況調査で常勤PTの給与費が集計されているサービスです。数字の読み方で、押さえておくことが2つあります。1つ目は、これが手取りでも年収でもないことです。事業所が回答した職員数と給料から出した、常勤換算1人あたりの給与費で、上の賃金構造基本統計調査とは定義が違います。だから、この表の金額と賃金構造基本統計調査の金額は比べず、この表の中で、サービスどうしを比べてください。2つ目は、統計表自身の注記です。
5) 常勤換算1人当たり給与費の数値については、サンプルサイズが少ないことにより集計結果に個々のデータが大きく影響している可能性がある。
1件ずつの事業所の影響を受けやすい数字だということです。そのうえで、2回の調査で同じ順に並んだことは、職場の種類を選ぶときの手がかりになります。なお、非常勤の理学療法士では訪問看護341,443円、訪問リハビリテーション353,276円、通所リハビリテーション373,754円と順番が入れ替わるので、常勤で移る場合の比較として読んでください。
介護施設では、処遇改善加算をPT・OT・STにも配分する施設が多い
介護施設へ移る場合に効くのが、介護職員等処遇改善加算の配分です。令和6年度介護従事者処遇状況等調査は、この加算を介護職員以外のどの職種に配分したかを、サービス別に集計しています(第33表)。
| サービス | 「PT、OT、ST又は機能訓練指導員」に配分した割合 |
|---|---|
| 介護老人保健施設 | 69.2% |
| 介護老人福祉施設 | 65.1% |
| 通所リハビリテーション事業所 | 60.3% |
| 特定施設入居者生活介護事業所 | 45.9% |
| 通所介護事業所 | 45.8% |
| 総数 | 34.3% |
出典: 令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 第33表(複数回答。加算の届出をしている施設・事業所が対象。令和6年9月30日時点)。
同じ調査で、加算を取得している事業所の「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員」(月給・常勤)の平均給与額は、令和6年9月に362,800円でした(基本給234,120円+手当73,110円+一時金55,570円。一時金は4〜9月の支給額の6分の1)。令和5年9月と令和6年9月の両方に在籍していた人どうしの比較で、1年で12,610円増えています。区分にはPT・OT・STのほか機能訓練指導員が含まれ、調査対象のサービスに病院・訪問看護・訪問リハビリテーションは入っていません。
訪問リハのインセンティブが件数でいくらになるかは、訪問リハのインセンティブはいくら?公表求人2件で計算すると月100件で上乗せ月4万〜8万円|年収が上がる4つの条件で計算しています。
老健やデイケアの求人を見るときは、「処遇改善手当」や「ベースアップ」の記載があるかが、月給の見えない差になります。求人票に書かれていなければ、応募前に聞いておく項目です。
病院から訪問や介護の分野に移りたい人は、求人を施設形態で絞ってから月給と手当を比べるのが近道です。PTOTSTワーカーは「訪問リハビリ・看護」「介護老人保健施設」「デイケア」などの施設形態と、「月給30万円以上」などの給与の下限で求人を絞り込めます(掲載求人数21,210件、2026年10月17日更新の表示)。処遇改善手当や賞与の月数は求人票に無いことが多いので、無料の会員登録をして担当のキャリアアドバイザーに施設ごとに聞いてもらうのが早道です。
法人の規模で差がつくのは、月給より賞与
同じPT・OT・STでも、勤め先の法人が大きいか小さいかで、差のつき方が違います。賃金構造基本統計調査の第1表で、企業規模(法人全体の常用労働者数)ごとに並べました。
| 企業規模 | きまって支給する現金給与額(月) | うち所定内給与額 | 年間賞与 | 年収の目安(当サイト試算) |
|---|---|---|---|---|
| 1,000人以上 | 315.0千円 | 296.7千円 | 829.6千円 | 約461万円 |
| 100〜999人 | 305.3千円 | 296.3千円 | 698.5千円 | 約436万円 |
| 10〜99人 | 319.4千円 | 308.5千円 | 590.6千円 | 約442万円 |
| 企業規模計(10人以上) | 309.9千円 | 298.2千円 | 717.2千円 | 約444万円 |
出典: 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第1表(男女計・産業計、PT・OT・ST・視能訓練士の合計)。年収の目安は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与」の当サイト試算です。
月給だけを見ると、10〜99人の法人がいちばん高く、所定内給与額で1,000人以上より月11.8千円多くなっています。ところが年間賞与は1,000人以上が829.6千円で、10〜99人より239.0千円多い。月給の高さと賞与の厚さは、別の法人で別々に出ているということです。なお平均年齢と勤続年数も規模で違い(1,000人以上は34.5歳・8.5年、10〜99人は37.7歳・6.7年)、賞与の差には働く人の構成の違いも含まれます。
求人票の「月給◯万円〜」だけで比べると、賞与の差を見落とします。賞与が「年◯か月分」と書かれていたら、基本給にその月数を掛けて年収に足すと、規模の違う法人どうしでも同じ物差しで比べられます。
求人を比べるときに見る4つの数字
統計で差がついていた場所を、求人票の項目に置き換えると次の4つになります。
- 経験年数の扱い: 前職の経験を何年分として初任給に反映するか
- 賞与の月数: 「年◯か月分」と、その計算の元になる基本給。法人規模の差は主にここに出る
- 手当の内訳: 訪問件数に応じた手当、処遇改善手当、資格手当など。介護分野ではここに処遇改善加算の配分が入る
- 常勤か非常勤か: 介護事業経営概況調査では、常勤と非常勤でサービスの順番が入れ替わっていた
このうち2と3は、求人票に書かれていないことがよくあります。自分で問い合わせにくい項目でもあるので、聞いてくれる人がいると比べやすくなります。
PTOTSTワーカーの「よくあるご質問」には、次のように書かれています。
ご希望に応じて、専任のキャリアアドバイザーが面接に同行し、給与や勤務条件などがご希望に近づけるよう、先方との交渉を行います。
内定のあとについても、同じページに「内定後に施設から正式な労働条件を書面で受け取り、ご登録者の方にも「採用条件確認書」としてお渡ししています」とあります。賞与の月数や手当の内訳を、入職前に書面で確かめられるということです。
賞与の月数や手当の内訳が求人票に無いときも、無料の会員登録をすれば、応募する前に担当者へ確認を頼めます。
この記事で確認できていないこと
- 病院・クリニックで働くPT・OT・STに絞った給与の公的統計は、この記事で読んだ資料には出てきません。賃金構造基本統計調査は、この記事で見た「一般労働者 職種」の表22件の中では、職種と産業を掛け合わせた表が第20表(職種は大分類)だけで、医療業と介護事業に分けたPT・OT・STの数字は取れませんでした。介護事業経営概況調査と介護従事者処遇状況等調査は介護保険のサービスだけが対象です。したがって「病院より訪問看護が高い」とは、この記事では言えません
- 一般企業(医療機器・福祉用具メーカーなど)で働くPT・OT・STの給与も、読んだ統計には区分がありません
- 賃金構造基本統計調査の数字はPT・OT・ST・視能訓練士の合計で、職種ごとの数字はありません。また「各表とも、特に説明がなければ民営の事業所のみの数値である」(利用上の一般的注意)ため、公立病院などの公営の事業所は含まれていません
- 介護事業経営概況調査の「常勤換算1人当たり給与費」に、賞与と法定福利費がどう含まれているかは結果表に書かれていません。調査票(居宅サービス・地域密着型サービス事業所票(医療関係)、厚生労働省 調査票様式)では、職種別の「給料」は令和7年4月分を記入し、賞与と法定福利費は職種を分けずに令和6年度実績の12分の1を記入する形になっています
- 同調査の統計表は、令和5年度決算と令和6年度決算の欄に同じ給与費の値を載せています。どの時点の値として扱うのが正しいかは、表からは確認できません
- 訪問看護の統計表には言語聴覚士の区分がありません
- 介護従事者処遇状況等調査の区分「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員」には機能訓練指導員が含まれ、PT・OT・STだけの数字は出ていません
- PTOTSTワーカーの掲載求人数21,210件は、2026年10月20日にトップページで見た表示(更新日2026年10月17日)です。地域や施設形態ごとの件数、非公開求人の件数は確認していません
- PTOTSTワーカーを通して転職した人の年収がどれだけ変わったかの公表値は、確認できていません
登録前の不安には、公式の答えがある
- 費用: 「よくあるご質問」に「ご利用者の方から登録料、紹介料、その他一切の費用をいただくことはありません」とあります。運営は株式会社トライトキャリアで、医院・企業・施設から紹介手数料を受け取る人材紹介サービスです(厚生労働大臣許可 27-ユ-305209 と公式サイトに表示)。無料で使える仕組みはPT・OT・STの転職エージェントはなぜ無料?手数料を払う人と、無料で頼めること一覧で整理しています
- いまの職場に知られないか: 在職中でも利用でき、「現在の勤務先に知られることは一切ありません」とFAQに書かれています
- すぐ転職しない場合: 「すぐの転職は考えていないけれど、情報収集や相談だけしておきたい」人も登録できると書かれています。紹介された求人に必ず応募する必要はなく、面接後に断ることもできるとしています
- 連絡の頻度: FAQには、連絡の頻度は希望に応じて調整し、担当者の変更にも応じると書かれています。登録のときに、連絡してよい時間帯と手段(電話・メール・LINE)を伝えておくとよいでしょう
まとめ
- 統計上、経験年数は職場を変えても通算される(給与への反映は応募先しだい)。経験15年以上の所定内給与は月341.0千円(0年は245.0千円)
- PTの給与費が集計されている3サービス(訪問看護・訪問リハ・通所リハ)の中では、訪問看護の常勤PTの給与費がいちばん高い集計(449,606円)。通所リハとの差は月33,487円で、前回調査でも同じ順だった
- 法人の規模で差がつくのは賞与。1,000人以上の年間賞与は829.6千円で、100〜999人より131.1千円多い。月給は10〜99人がいちばん高い
- 処遇改善加算を届け出ている介護老人保健施設のうち69.2%が、加算をPT・OT・ST等にも配分している
- どれも平均値で、別の統計どうしの金額は比べられない。病院・クリニックに絞ったPT・OT・STの公的統計は見つかっていない
訪問看護や老健、規模の大きい法人への転職で年収を上げたいなら、まずは希望の施設形態と月給の下限で求人を絞り、賞与の月数と手当の内訳を並べて比べてください。求人票に無い項目は、無料で会員登録すれば担当者に聞けます。PTOTSTワーカーは在職中のまま、情報収集だけのつもりでも登録できます。