訪問リハのインセンティブはいくら?公表求人2件で計算すると月100件で上乗せ月4万〜8万円|年収が上がる4つの条件
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病院や老健から訪問リハに移ったら、インセンティブで年収はどれくらい上がるのか。理学療法士として相場を知りたいのに、求人票には「インセンティブあり」としか書かれていないことが多いですよね。実際、PTOTSTワーカー(PT・OT・ST WORKER)に出ている訪問看護ステーションの求人でも、金額ではなく「※月間訪問実績に応じて追加の手当てが発生します。」という書き方のものがあります。
調べてみると、金額まで公表している求人もあります。訪問看護ステーションの公表求人2件を例に計算すると、月100件の訪問で上乗せは月4万〜8万円になりました(2件を例にした計算で、全国の分布は集計していません)。訪問リハの報酬は訪問1回ごとに事業所へ入る仕組みなので、給与も件数に連動させやすいんです。
この記事は、介護報酬・訪問看護療養費の告示(厚生労働省)、令和7年賃金構造基本統計調査(e-Stat)、PTOTSTワーカーに掲載されている求人の原文(いずれも2026年10月20日確認)から、上乗せ額を当サイトで計算したものです。年収を保証するものではなく、公表条件にもとづく試算です。
- 訪問看護ステーションの公表求人2件を例に計算すると、月100件の訪問でインセンティブは月4万〜8万円。12か月続けば年48万〜96万円の上乗せになる(当サイト試算)
- インセンティブには1件目から付く「全件型」(例: 1件650〜800円、日曜・祝日2,100円)と、基準件数を超えた分に付く「超過型」(例: 80件を超えた分に1件2,000〜3,000円)がある。超過型は件数が伸びるほど上がり幅が大きい
- 2026年6月1日から、訪問リハビリテーションと訪問看護にも介護職員等処遇改善加算が新設された(訪問リハは単位数の1.5%、訪問看護は1.8%)。これまで対象外だったサービスである
- 上がるかどうかの判断材料になるのは、基準件数・1日の訪問件数・単独訪問の扱い・固定残業代の書き方の4つ。どれも求人票か問い合わせで確認できる
- 金額の書いていない求人は、無料の会員登録をすれば、担当者に「月何件から、1件いくら付くか」を聞ける
訪問リハの求人をまとめて見比べたいなら、PTOTSTワーカーで「訪問リハビリ・看護」に絞ると4,201件が出ます(2026年10月17日更新の表示)。金額が書かれていない求人も多いので、無料で会員登録すれば担当者に「月何件から付くか」をまとめて聞けます(求人票は登録前でも読めます)。
訪問リハは、訪問1回ごとに報酬が入る仕組みになっている
インセンティブが件数で決まるのは、事業所の収入が件数で決まるからです。介護保険の訪問リハビリテーション費は、厚生労働省の告示で次のように定められています。
イ 訪問リハビリテーション費(1回につき) 308単位
(厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和6年厚生労働省告示第86号)」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001227814.pdf )
訪問看護ステーションに勤めるPT・OT・STの訪問も、1回・1日ごとの報酬です。
| 働く場所と保険 | 報酬の単位 | 出典 |
|---|---|---|
| 訪問リハビリテーション事業所(介護保険) | 1回につき308単位 | 令和6年厚生労働省告示第86号 |
| 訪問看護ステーションのPT・OT・ST(介護保険) | 1回につき294単位 | 令和6年度介護報酬改定における改定事項について(訪問看護 基本報酬) |
| 訪問看護ステーションのPT・OT・ST(医療保険) | 1日につき5,550円(訪問看護基本療養費(Ⅰ)) | 令和8年厚生労働省告示第74号 |
介護保険の単位は、厚生労働大臣が定める1単位の単価(地域区分ごとに違う)を掛けて円に換算されます。医療保険の5,550円は、2026年6月1日から適用されている令和8年の告示でも、改正前と同じ額です。医療保険の訪問看護基本療養費(Ⅰ)は、原則として利用者1人につき週3日が限度です(告示の注1。厚生労働大臣が定める疾病等の利用者を除く)。
訪問では1件ごとに事業所の収入が立つので、それを給与に返す設計(インセンティブ)が組みやすい、というのがこの仕組みの要点です。
公表されている求人で見る、インセンティブの2つの形
PTOTSTワーカーで「インセンティブ」を含む求人は755件、「1件につき」は101件、「件あたり」は45件ありました(2026年10月20日、サイト内フリーワード検索)。そのうち、金額と条件が求人票の文面だけで計算できる2件を例にします。どちらも訪問看護ステーションの求人です。
全件型: 宮崎県宮崎市の訪問看護ステーション(OT・正社員、2026年5月更新の求人)
訪問件数手当:650円~800円/1件(平日・土曜日) 2,100円/1件(日曜日・祝日) ※単独での訪問の場合(同行訪問は支給対象外です) ※月100件訪問の場合は、6万5,000円が固定給と別で支給されます。(件数の変動あり)
(https://ptotst-worker.com/job-detail/180450/ )
月給は24万1,000円〜26万3,000円で、資格手当3万円と固定残業代(45時間分)の記載があります。求人概要には「勤務日1日あたりの訪問数は5~8件」とあります。
超過型: 埼玉県さいたま市の訪問看護ステーション(ST・正社員、2025年2月更新の求人)
訪問手当:訪問件数80件を超えた分は、1件につき2,000円~3,000円支給
(https://ptotst-worker.com/job-detail/50695/ )
月給は27万円〜、賞与は「0~150万円(前年度実績)」、年間休日137日(土日祝固定休み)です。
| 全件型(宮崎市の求人) | 超過型(さいたま市の求人) | |
|---|---|---|
| いつから付くか | 1件目から | 月80件を超えた分から |
| 1件あたり | 650〜800円(日曜・祝日2,100円) | 2,000〜3,000円 |
| 月100件のとき | 6万5,000円〜8万円 | 4万〜6万円 |
| 対象外の明記 | 同行訪問 | 記載なし |
全件型は件数が少ない月でも手当が付き、超過型は基準を超えてからの1件あたりが大きい、という違いがあります。
月100件なら上乗せは月4万〜8万円。年にすると48万〜96万円
上の2件の条件で、月100件訪問した場合を計算します。全件型は100件×650〜800円=6万5,000円〜8万円(650円の場合の6万5,000円は求人票に書かれている額と一致します)。超過型は(100件−80件)×2,000〜3,000円=4万〜6万円です。
超過型は、1日に何件回れるかで上乗せが大きく変わります。さいたま市の求人の年間休日137日から出勤日を年228日(月平均19日、有給休暇は考慮しない)として計算すると、次のようになります。
| 1日の訪問件数 | 月の件数(19日) | 80件を超えた分 | 月の上乗せ | 12か月の上乗せ |
|---|---|---|---|---|
| 4件 | 76件 | 0件 | 0円 | 0円 |
| 5件 | 95件 | 15件 | 3万〜4万5,000円 | 36万〜54万円 |
| 6件 | 114件 | 34件 | 6万8,000円〜10万2,000円 | 81万6,000円〜122万4,000円 |
月80件は、月19日の出勤なら1日あたり約4.2件です。さいたま市の求人の条件なら、1日5件を安定して回れる人で月3万円以上、6件なら月7万円近くが乗る計算になります。
参考に、統計の平均も見ておきます。令和7年賃金構造基本統計調査では、職種は「理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士」が1つの区分です(企業規模10人以上、全産業)。
| 令和7年賃金構造基本統計調査 | 値 |
|---|---|
| きまって支給する現金給与額(月) | 30万9,900円 |
| うち所定内給与額(月) | 29万8,200円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 71万7,200円 |
| 年収の目安(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与) | 4,436.0千円(約444万円、当サイト算出) |
| 平均年齢・勤続年数 | 36.2歳・8.4年 |
(e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第1表」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040421116&fileKind=4 、2026年3月24日公開)
統計は施設の種類で分けていないので、「病院の平均」「訪問リハの平均」をこの表から出すことはできません。比べられるのは、今の自分の給与明細と、移りたい求人の基本給+件数×単価です。職場の種類・法人の規模・経験年数で統計上どこに差が出るかは、理学療法士が転職で年収を上げるには?公的統計で比べた職場の種類・法人規模・経験年数で比べています。
自分の1日の件数ならいくら乗るかは、求人ごとの単価と基準件数で決まります。PTOTSTワーカーは会員登録が無料で、よくある質問には、求人票だけでは分からない情報を伝えることや、希望に応じて応募先と給与・雇用条件の交渉をすることが書かれています(費用がかからない仕組みはPT・OT・STの転職エージェントはなぜ無料?手数料を払う人と、無料で頼めること一覧で整理しています)。「この求人のインセンティブは月何件からか」は、登録後に担当のキャリアアドバイザーへ聞けば済みます。
2026年6月から、訪問リハと訪問看護にも処遇改善加算ができた
訪問リハで働く人にとって、もう1つの変化があります。厚生労働省の「令和8年度介護報酬改定の概要」には、次のように書かれています。
これまで処遇改善加算の対象外だった、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等について、新たに処遇改善加算を設ける。
同じ資料は、改定の目的を「介護職員のみならず、介護従事者を対象に、幅広く月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置を実施する。」としています。告示では、訪問リハビリテーション費に「介護職員等処遇改善加算」が新設され、届出をした事業所は算定した単位数の1000分の15(1.5%)を加算できます。訪問看護費は1000分の18(1.8%)です。施行は令和8年6月1日です。
(厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675936.pdf 、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和8年厚生労働省告示第87号)」 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675895.pdf )
この加算は、事業所が要件を満たして届け出たときに算定できるものです。概要では、新たに対象となる訪問看護・訪問リハは「加算Ⅳに準ずる要件(キャリアパス要件 Ⅰ・Ⅱ及び職場環境等要件)又は令和8年度特例要件により算定可能」とされています。移りたい事業所が算定しているかどうかは、面接や問い合わせで聞ける項目です。
年収が上がるかの判断材料は4つ。求人票のここを見る
ここまでの数字は、条件がそろったときの話です。次の4つは、求人票を見た段階で自分の年収が上がるかを見積もる判断材料になります。
1. 基準件数と、1日に組まれる件数
超過型は基準を超えるまで0円です。さいたま市の求人の条件では、1日4件(月76件)だと上乗せはありません。求人票の「1日の平均訪問件数は5~8件程度」「1日4~6件」といった記載と基準件数を並べれば、自分に乗る額の見当がつきます。
2. 「月100件以上で1件あたり」は、全件か超過分か
千葉県千葉市の訪問看護ステーション(ST・正社員、2026年6月更新の求人)は、待遇欄に「インセンティブ:月100件以上で1件あたり1,350円(入社後2年は1,000円)」、紹介文に「月100件目からはインセンティブの支給もあり」と書いています(https://ptotst-worker.com/job-detail/183753/ )。100件目から全件に付くのか、100件を超えた分だけに付くのかで、月の額は大きく変わります。文面だけでは確定できないので、応募前に担当者か事業所へ問い合わせれば確かめられる点です。
3. 入職直後と同行訪問の扱い
宮崎市の求人は「同行訪問は支給対象外」、千葉市の求人は「入社後2年は1,000円」と明記しています。訪問が初めての人は、同行期間が終わって単独で回れるようになった月から上乗せが始まる、と見込んでおくと計算がずれません。
4. 月給に固定残業代が含まれているか
宮崎市の求人は固定残業代(45時間分)、千葉市の求人は固定残業代4万1,420円〜4万3,680円(20時間分)を月給に含めて書いています。今の給与と比べるときは、固定残業代を除いた基本給+手当どうしで比べると、インセンティブの上がり幅を正しく見積もれます。
この記事で確認できていないこと
- 訪問リハだけの平均年収。 賃金構造基本統計調査の職種区分は「理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士」で、病院・介護施設・訪問などの施設の種類では分けていない。視能訓練士も含む
- インセンティブの相場そのもの。 この記事で計算したのは公表求人2件の条件で、全国の分布ではない。PTOTSTワーカーで「インセンティブ」と検索した結果の先頭10件(2026年10月20日)は、いずれも金額の記載がなかった
- 一部の求人の手当が月給に含まれるかどうか。 「訪問手当:10万円」「訪問手当 1訪問件数当たり4,000円支給」と書かれた求人もあったが、表示された月給の範囲に含まれるのか別払いなのかが文面から読み取れなかったので、計算には使っていない
- 千葉市の求人の「月100件以上で1件あたり」が全件か超過分か(上の条件2)
- さいたま市の求人の基準件数の書き方。 仕事内容欄は「訪問件数80件以上から訪問手当あり」、待遇欄は「訪問件数80件を超えた分は、1件につき2,000円~3,000円支給」で、80件目が対象に入るかの書き方が食い違う。この記事は待遇欄の「80件を超えた分」で計算した
- インセンティブが賞与の算定に入るかどうか。 どの求人にも記載がなかった
- 処遇改善加算が、PT・OT・ST個人の給与にいくら配分されるか。 加算は事業所に入り、配分は事業所が決める。月1.0万円は改定の目標として書かれた額で、個人の受取額ではない
- 介護報酬の1単位の円換算と、訪問リハ「1回」の時間の定義。 地域区分ごとの単価の告示と、留意事項通知のうち改正されなかった部分は読めていない
- 求人の条件が今も同じかどうか。 求人は2026年10月20日に確認したもので、更新日は宮崎市の求人が2026/05/14、さいたま市の求人が2025/02/14、千葉市の求人が2026/06/06。条件の変更や募集の終了はありうる
- 令和9年度の介護報酬改定。 概要には令和9年度改定で「物価や賃金の上昇等を適切に反映するための対応を実施する」とあるが、訪問リハの単位がどうなるかは決まっていない
まとめ
- 訪問看護ステーションの公表求人2件を例にすると、月100件の訪問でインセンティブは月4万〜8万円、12か月で年48万〜96万円(当サイト試算)
- インセンティブは全件型(1件目から)と超過型(基準件数を超えた分から)の2つ。超過型はさいたま市の求人の条件(月19日出勤)で、1日5件なら月3万円以上、6件なら月7万円近くになる計算
- 訪問リハは訪問1回ごとに報酬が入る(介護保険308単位/回、医療保険の訪問看護はPT等5,550円/日)ので、件数を給与に返す設計が組みやすい
- 2026年6月1日から、訪問リハ(1.5%)と訪問看護(1.8%)に処遇改善加算が新設された。算定しているかは事業所に聞ける
- 上がるかどうかは基準件数・1日の件数・同行期間の扱い・固定残業代の4点が、上がるかを見積もる判断材料になる
1日5件以上の訪問を回していける見込みがあり、求人の基本給(固定残業代を除いた額)で今の給与と比べて上回るなら、インセンティブの分だけ年収を上げられる計算になります。たとえば宮崎市の求人は固定給24.1万〜26.3万円に固定残業代(45時間分)を含んでいるので、その分を除いてから比べてください。まずはPTOTSTワーカーで「訪問リハビリ・看護」の求人を開き、通える範囲の求人の基準件数と1件あたりの単価を2〜3件書き出してみてください。金額が書かれていない求人は、無料の会員登録をすれば担当のキャリアアドバイザーに条件を問い合わせられます。登録料・紹介料はかからず、応募しなくても問題ありません。